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2005年11月30日

FIREFLY

今日読み終えた本。

 FIREFLY

 桜井 亜美 蜷川 実花
 幻冬舎 (2000/12)
 売り上げランキング: 138,474

最近好きな作家である桜井亜美と、最近興味を持っている写真家である蜷川実花とのコラボ作品。2人ともリアルなというか生々しい作品をつくる方なので、そのコラボレーションであるこの作品の世界もリアリティの高いものになっている。
小説。出だしから尊属殺人、そして逃走生活の中での集団詐欺行為、パーティで知り合った男の彼女である植物人間の春霞との出会い。さすが桜井亜美というべきか、始終重いテーマが続く。ただ、殺人や詐欺は重いだけでなく「黒い」テーマでもあるはずなのに、黒いどころかむしろ天使のような「白さ」だとか「透明感」といったようなものを感じた。それはたぶん、14歳という設定と、春霞に対するピュアな感情によるものだと思う。話全体がそれこそ春の霞のように、美しくもどこか儚い雰囲気に包まれていた。ちなみに、詐欺グループのメンバーとして登場するヘアメーキャップアーティストのWaniって名前、今回の撮影のヘアメイク担当者から取ったようだ。
写真。背伸びした女の子、という主人公Yuriaのイメージをうまく映像にできている。気取って大人びた様子の場面もあれば、あどけなさをあらわにしている場面もあり、作品の世界とよくマッチしている。モデルにはそれくらいの年頃のMAOっていうコを使っていて、もちろんモデルも適役だったけど(最後の方の、河のほとりでの儚げな横顔は、それだけでもこの本をとっておく価値があると思えるほどよかった)、こういう女独特の表情っていうのは、写真に撮らせたら蜷川実花の右に出る人はいないだろうなあと思った。少なくとも男性の写真家には難しい気がする。やっぱりたぶん、女のことは女の方がよく知ってるわけだから。
桜井亜美と蜷川実花。どっちもしばらくは目が離せない。

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2005年11月28日

その場しのぎの英会話

さっき東海道線の電車の中で読み終えた本。

 その場しのぎの英会話―カタコトでも一年間住んじゃった

 阿川 佐和子
 光文社 (2000/07)
 売り上げランキング: 64,553

阿川佐和子がアメリカで生活していた頃のことを綴った、いつもの軽い感じのエッセイ。
やっぱ言葉って生き物だから理屈だけでは説明できないところは多いし、あとは使ってナンボ的な部分も大きいよなあ。
あー、自分がどこまでやれるか試してみたい…。放浪の旅にでも出たい気分。思い描く行き先はなぜかアジアか東欧だけど。あ、北欧もいいな。

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2005年11月27日

個室の中の女優たち

いま読み終えた本。

 個室の中の女優たち―ソープランド嬢というお仕事 1980‐1999

 宮田 義由 吉田 陽子
 メディアファクトリー (1999/12)
 売り上げランキング: 325,236

30人のソープ嬢の本音。時代背景は違えど、この業界に足を踏み入れる動機としては、やっぱりお金というのが一番多いようだ。自分ももし女に生まれていたらこの仕事に手を染めていただろうなあ。いろんな意味で。
古い本なので、90年代の様子が思い出されて面白かった。「PHSの料金が高くて親に取り上げられたのにムカついて、援交やって携帯買った」とか。ていうか、あの頃から援交ってあったのか・・・。同級生の中にも2,3人くらいはいたかもしれないな。

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ヌカカの結婚

15日頃に読んだ本。

 ヌカカの結婚

 森川 幸人
 新紀元社 (2005/01)
 売り上げランキング: 27,213

様々な昆虫の「性」の形態を擬人的に表現した絵本。「ヌカカ」は蚊の一種。
環境に応じて性を変化させたり、交尾中にメスがオスを食べてしまったり、精子をすぐに受精させずに体内に蓄えておいて必要なときが来たら使ったり、本当に驚くべき性のかたちがたくさんある。絵も綺麗だし、わかりやすかったし、面白かった。
あとがきかどこかにも書いてあったけれど、昆虫の世界じゃ(たぶん動物の多くについても)乱交が普通なんだよな。それに比べると、一夫一婦制やら倫理やらを持ち出して乱交をタブーとしている人間は不自然極まりない。そう考えると、人間はもっと性について解放的になってもいいはずだ、と思わずにはいられないけど、やっぱりそれは違う気もする。うーん。

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2005年11月15日

58 HIPS

きれいな本集めの一環。

 58HIPS

 藤代 冥砂
 祥伝社 (2001/04)
 売り上げランキング: 73,257

簡単に言うと、女のコの半ケツコレクション。しかしまるでエロくない。むしろアート。路上で、店内で、台所で、屋上で、いたるところで半ケツ。かなりシュールな作品が並んでいる。その中でも、表紙を飾っている、グランドに向かって仁王立ちしつつも半ケツな女子高生のが一番好き。
ただ、アマゾンのレビュアーの1人も言ってるけど、最後の顔写真つきプロフ一覧はいらなかったな。半ケツ写真集は半ケツ写真集のまま終わってほしかった。
そしてこの続編が出ている模様。気になる・・。

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2005年11月14日

エーゲ海の猫

表紙を飾る三毛猫の挑発的な表情に誘われて買った1冊。

 エーゲ海の猫―HAPPY CATS PARADISE

 村松 雪絵
 講談社 (2003/11)
 売り上げランキング: 424,595

地中海沿岸にあるギリシャの小さな町。青い海が目の前に広がる崖の上に、所狭しと住居が密集して建てられている。町中は坂の連続で、車の通れる道などない。
白壁の家々の間を、猫たちが自由気ままに遊ぶ。なんてのどかな、そして平和な光景なんだろう。写真の中からは、猫のミャーという鳴き声と、ゆったり流れる時間、そして遠くのほうに波の音と海上を漂うウミネコの声が感じられる。
いつか、このエーゲ海沿岸の町へ行ってみたいと思った。こういう所でゆったりと毎日を過ごしてみたい。

この写真集は、そこらへんにある普通の猫の写真集と違って、猫の表情がよく撮れていた。特にアンニュイな表情が。「プピー」って猫、横顔がどことなくフジ子・ヘミングに似てる。
そういえば、ノラ猫を撮ろうと思って買った8倍ズームのデジカメ、3月に落として壊れたままほったらかしだ。修理に出してみようかな。

03:28 | 固定リンク | 絵本 | コメント (1426)

2005年11月05日

たった3ヵ月で英語の達人

今読み終えた本。

 たった3ヵ月で英語の達人―留学なんて無駄!お金のかからない速習法

 志緒野 マリ
 祥伝社 (2002/04)
 売り上げランキング: 12,577

短期集中で英検1級と通訳ガイド試験に合格したプロによる体験談。

まず、親は子供に留学の費用を出すな、ってのには同意。語学留学とか言って1,2か月外国に滞在する人って身の回りにたくさんいるけど、その中の何人が本当に英語の運用力を伸ばして定着したかっていう。本当に行きたければバイトでもして自分で工面するはずだしな。そして、それくらいのモチベーションがあって初めて、海外滞在経験というものが役に立ちうるのだと思う。

逆に、海外へ行かなくても国内で英語力をつけるためにできることはいくらでもある、ということ。単語を気合入れて覚えたり。文法を確認したり。よく「英語なんてアメリカやイギリスに行けば小さな子供でも話してる」なんて言うけれど、自分たちが"ちゃんとした"日本語を話せるようになるまでに何年かかったかを考えてみれば、それは馬鹿げた発言以外の何物でもないことはすぐわかる。いやむしろ、20数年日本語を使ってきてもまだまだ完全とはほど遠いというのに・・・。子供のような純粋さも失ってしまっているし。
そこで登場するのが「文法」。これは、母国語以外の言語を効率よく理解し使えるようになるために考案された人間の知恵だ。そして、大人にしか使うことのできない武器でもある。言葉自体はもちろん「文法ありき」であるはずはなく、文法なんてものは所詮人間が後からつけたこじつけや屁理屈に過ぎないといえばそうなんだけど、これによって、本来なら純粋な吸収力を持ってしても何年もかかってしまう言語の習得というものを、ほんの数年でやってしまうことが可能になる。そういう意味で、外国語を学ぶ際には、その言語の文法=ルールを先に押さえておくことは正解と言える。それさえわかってしまえば、あとは語句を置き換えるだけでいろんなことを表現できる。
実際自分が英語を教える立場になって半年くらい経つけど、その中で実感しつつあるのが、外国語の習得には3つの大事な要素があるということだ。その3つとは、文法の知識、語彙力、そして構文(決まり文句)の知識。構文の知識が必要な理由は、決まり文句では文法が破綻したり語彙の本来の意味とは離れた使われ方をしたりすることがしばしばあるからだ。この3つをしっかり身につければ、「読む」・「書く」には十分だ。他に必要なものは、「聴く」には慣れ、「話す」には度胸。
ちなみに、上の文法の話を留学準備中のある人にしたら、「じゃあがんばる」と。受け売りだけど、俺の信頼度が上がりましたよ。ありがとう志緒野先生。

国内で多少やれることをやってしまったら、あとは外国へ飛び出すのみ。いくら準備万端とはいえ、いざとなると自分の言いたいことをちゃんとした英語で表現することは難しいものだ。でもそういう「ちゃんとした」なんてのは最終的にはどうでもいい。問題は、言いたいことを伝えることができるかどうか、ただそれだけだ。要はコミュニケーション能力の問題。いつか、それもそう遠くないうちに、自分を試してみたいと思う。どこまでやれるのか、どこまで通用するのか、を。

この本は面白かったしためになったな。他人の経験を自分のものにできる、というのが読書の1つのメリット。しばらくは英語に関する本をもう数冊読んでみよう。

18:06 | 固定リンク | | コメント (1416)