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2006年05月06日

ふたりの5つの分かれ路

酒とつまみを準備して部屋を暗くして観た、100分の中編フランス映画。

ふたりの5つの分かれ路
メディアファクトリー (2006/02/24)

普通の夫婦の出会いから別れまでを描いたシンプルなストーリー。
内容も、出会い・結婚・子供の誕生・裏切り・離婚と、いたって普通。
ただ1つこの作品が異色なのは、この5つのシーンが逆の順番で展開される、ということ。

離婚成立後、妻Marionの体はもう夫Jillを受け入れることができなくなっていて、そこにJillが力ずくで入っていくという、ほとんどレイプのようなシーンから始まる。
そして最後は、旅行中にたまたま出会った仕事相手と朝焼けの海で恋に落ちるという、幸せな未来を予感させる幻想的なシーンで閉幕。
時間がジグザグに進むので、各シーンのつながりは自分で想像しなければならない。
それはともかく、離婚に至るストーリーでも、逆にたどると綺麗な話になるってのは、かなり斬新だ。
こんなふうになってしまった2人だけど、あんなにドキドキした幸せな時期もあった、っていう。
ああそうか、これはある意味、離婚した2人(あるいは別れたカップル)が必ずするであろう、幸せな日々の回想なんだな。
そう考えると、形式としては何ら特殊ではないけれど、でもそれを映像化した人は、もしかしたら本作のフランソワ・オゾン監督が初めてなのかもしれない。

2人の人間が出会えば、そこにはやがて必ず別れが訪れる。
それは喧嘩別れかもしれないし、事情があって離れるのかもしれない。
もしそういうことがなかったとしても、どちらかが死んでしまえばそこでお別れ。
そういうことを考えると、出会いというものは本質的には哀しみを孕んでいると言える。
それはまさに会者定離そのもの。
でもまあ、別れを予期した上で出会う2人なんていないし、そんなこと気にしてみたところで別れは来るときには来るどうにもならない代物なので、結局今を大事にってことなんだろうな。

2006年05月06日 14:32 |

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